西極楽寺住職ブログ

雲香る

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2025年9月1日

2025年9月 伝道掲示

 私たちは、心に沸き上がった感情を口を通して言葉で、身体を通して行動で表現します。仏教では行為を三種類(三業・・・さんごう)と考えるのですが、特徴的なのは、口業(くごう・・・口による行為)と身業(しんごう・・・身体による行為)だけではなく、心による行為(意業・・・いごう)があると考える点です。

 口業や身業は他者からも確認できる行為ですから、善悪の判断はしやすいのですが、意業は心の中ですので、他者からは判断できないものです。しかし、心で思ったことを言動として表面化させるのですから、意業は極めて慎重でありたいものです。

 悪いことに対するブレーキは誰しもが持っているものです。そのブレーキは状況に応じて壊れてしまったり、ブレーキの効きが悪くなったりするものです。これは欲望を持った人間の悲しい現実です。

 しかし、その壊れたり効きが悪くなったブレーキによって、他者を傷つけたり苦しめることになるのですから、できるだけ自分へのブレーキを確認しておくことが大切です。

 そこで、ブレーキをかけるタイミングについて考えてみたいと思います。                ①心で思ったことを口や体で表面化させるタイミングでのブレーキ                                             「このことを言ったら相手を傷つけてしまう」と考えて、言葉にするのにブレーキをかけることがあると思います。言動として意業を表面化させなければ、少なくとも他者を苦しめたり傷つけたりすることはありません。

②心で思う前にブレーキ                                                       相手を恨んだり憎んだりする心や、馬鹿にしたり騙すそうとする心が生じなければ、最高のブレーキといえるでしょう。しかし状況に応じて、自分の心に生じる煩悩は、なかなかコントロールできないものです。

 そこで、せめて①口や体で表面化させるタイミングでのブレーキがあれば、ベターだと思うのです。もしもそのブレーキの効きが悪くて、悪い言動をしてしまったら、しっかりと反省をすることが大切です。仏様の前で懺悔(仏教では「さんげ」と読みます)をして、悔い改めて「愚かなことをして(言って)しまった。次からは気を付けよう」と懺悔することは、次の機会におけるブレーキの効きが少しよくなることに繋がります。

 そうすることで自分も周りの人も生きやすい社会になればいいですね。今日も精進いたしましょう。

 

 

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