西極楽寺住職ブログ

雲香る

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2024年5月1日

2024年5月 伝道掲示

 私たちの心の中には煩悩があります。煩悩は文字通り「煩い悩みの種」になります。自らの煩悩で自らが悩み苦しむことになるのです。だから仏教では煩悩を無くしたり、抑えたり、少なくしたりすることを大切にするのです。

 そこで沢山の種類がある煩悩の中で「貪り(むさぼり)」について考えてみたいと思います。貪りとは「もっと欲しい」という欲深い心です。他人が持っている物を見たら欲しくなるし、一つ持っていてももう一つ欲しくなる、十分に持っていてももっと欲しくなるのが、貪りの心です。貪りの心で生きている他人の姿を見たら、欲深くて格好悪く見えるものですが、自分が貪りの心をむき出しにして生きている時には、自分自身の愚かさが見えないことが多いのです。

 貪りの心を野放しにしておいたら、これから先もずっと「無い物ねだり」で「貪り」続けて生きることになります。それは煩い悩み続ける人生であり、自分を苦しめ続ける人生となってしまいます。「ほどほど」という言葉がありますが、この言葉を大切に生きれば、貪りを少しでも抑えることが出来るのではないでしょうか。

 さらに、自分に無い物を求め続ける前に、いま自分が持っている物に目を向けることも、貪りを少しでも抑えることになります。すでに持っている物でも十分・十二分なことも多いのです。

 ない物ねだりは「ほどほど」にして、すでに自分にある物を大切にして生きていくことが、実は幸せな人生を歩む秘訣なのです。

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